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vol.3 絶対王者への挑戦

リオオリンピック100kg超級の代表に選出され、早急にやらなければいけない事が増えた。

それは外国人選手の対策である。

オリンピックに出場する選手は世界ランキングの上位22位という出場枠が設けられている為、一回戦から油断は許されない。

また、この階級にリネームという絶対王者が君臨し、組み合わせでどこに配置されようが彼を倒さない事には金メダルへの道はない。

原沢久喜のオリンピックまでの3ヶ月のほとんどは、リネームの対策・戦略として時間があてられた。

最強のフィジカルを誇るリネームには体力的なアプローチは通用しないと考えていい、技術しか彼を倒す突破口はない。

寝ても目覚めても四六時中リネール事が頭にあったという。

今まで世界選手権の出場もなく、初めての大舞台がオリンピックであった原沢は周囲の期待から感じたのは大きなプレッシャーだった。

いよいよ迎えた大舞台。

この日を原沢はこう振り返る。

調子が良かった。全く緊張しなかった。

ゾーンにはいってるようだった。

一回戦から、累積指導による反則勝ちと投げ技による一本勝ちを積み重ね、完璧な内容でとうとう決勝に辿り着いた。

もちろん相手はリネールである。

これまであらゆる想定と準備はしてきた、これ以上できない程にしてきた。

あとは戦うだけ。

試合が始まると、リネールが組み合ってこない。

まるで逃げるように感じた。

これはいけると思いそのまま組み手争いを行なった。

しかしこれがリネールの戦い方だった。

自分が強いとこでしか勝負しない。

世界で確実に一番強い柔道家のはずのリネールが長く世界の頂点に君臨し続けるのはこれが理由なのかもしれない。

もっと早く作戦を変えてもっと早く勝負を仕掛ければ、、、

だからリネールは最強なのか、、、

試合は指導の累積差による優勢負け。

初めての大舞台オリンピックは銀メダルに終わった。

原沢本人は金メダルを目指していただけに悔しい想いが残った。

しかし世間の目は日本際重量級が世界の舞台で存在感を示し、何より原沢久喜の強さを世界が改めて認識した日でもあった。

この悔しさを次のオリンピックに向けて原沢はリオをあとにした。

続く。

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