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vol5, 東京オリンピック

東京オリンピックに向けての再出発は、決して順調ではなかった。むしろ最悪であったと言ってもいい。

オーバートレーニング症候群を発症し、出口の見えない戦いが始まり、それでも一歩づつ前に進まなくてはいけない。

2017年の世界選手権、初戦敗退を底に原沢は彼の柔道人生を180°変える決断をした。

翌年2018年、所属の日本中央競馬会を退職。その当時の環境を全て変え柔道に100%集中する為にあらゆる退路を切った。

所属なしの柔道家など当時は異例中の異例であった。

会社を退社する際には、職場の方々から「世界一の柔道家を命ずる」という、最後の”辞令”とともに送り出された。

これはまさにみんなから応援される柔道家である原沢久喜らしいエピソードとなった。

所属はなくフリーとして活動し始めて、稽古・トレーニング・栄養・ケア等それぞれのプロフェッショナルの協力をいただき徐々に調子を取り戻してきた。

フリーとして、活動していくのはかなり大変な道ではあるが、原沢久喜という柔道家には多方面のスポンサーやサポーターが不思議と集まってきた。

そのおかげで、東京オリンピックへの代表争いには戻る事ができ、2019年東京世界選手権では2位。

2019年ワールドマスターズで優勝。

最後の最後に他の候補を突き放す形で東京オリンピック代表権を勝ち取った。

2020年に行われる予定だった東京オリンピックはコロナウイルスの影響で一年延期されるかたちとなり2021年に開催された。

しかし、東京オリンピックの結果は3位決定戦で負けて5位。頂点には届かなかった。

またしても柔道というものの難しさを、勝負というものの厳しさを感じることとなった。

続く。

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